婦人之友2002年2月号
 女性が語る家庭のパソコン・インターネット
良い環境作りは親子の対話から    『ねちずん村』の活動
社会問題化しっつあるインターネットの「影」の部分から、子どもたちを守ろと声をあげる「ねちずん村」を訪ねた。
 11月のよく晴れた休日、群馬県前橋市の社会福祉センターでおこなわれた、「子どのインターネット利用を考える」という講習会に参加した。会場に集まった15名ほどの参加者は、20代の女性から主婦、中高年男性までの幅広い年代層。
 講習会を運営する「ねちずん村」は、「子どもたちにITリテラシー有害情報を見分ける能力)を身につけさせること」を目的に、設立された会。「ねちずんとは、ネットワーク・シチズンの意味で、健全なネット市民になりたいという思いがこめられています。私が『村長』という肩書きにしたのも、大学の教師でなく、5人の子の父親という、一市民の立場から声をあげていきたいと思ったからです」
 群馬大学教授の下田博次「村長」はそう語る。
 下田さんを中心に、前橋友の会・桃川最寄や群馬大学の学生、一般市民らが、NTT前橋支社や地方自治体の協力を得て、昨年から活動を開始した。
「パソコンをどこに置く?」から始まった
「ねちずん村」の設立は昨年、前橋友の会・桃川最寄の3人の中で、最寄勉強のテーマに「パソコンを生活に生かす」を掲げたことがきっかけだった。まずはパソコンの設置場所を考えようと話し合った。「夫の部屋にあると主婦は使えない」 「子どもに買い与えるのだから子ども部屋に?」と意見が分かれ、なかなか方向性が見えない。そこでメンバーの一人、下田毯子さんは、大学の社会情報学部で教鞭をとる夫の博次さんに、わが子への不安も含めて相談した。説明を聞くうちに、「アメリカではパソコンを、親の目の届くリビング〜−ムに置くよう指導する」ことや、「インターネットがなぜ、どういう目的で作られたのか」などを、少しずつ勉強していくことができたという。
「では日本の状況はどうだろうと、さっそくホームページで『子どもとインターネット』について調べてみたの
ですが、きちんと扱っているところはほとんど見当たりません。
 その頃、自殺封助やネット詐欺、出会い系サイトなどの問題が取りあげられるようになり、インターネットの本来の使い方も多くの人に知らせたい。そうした思いから、ねちずん村のホームページを立ち上げました」
 主婦3人の疑問が発端となり、2001年の5月にはホームページを、6月には「ねちずん村講習会」を開始し、年内だけでも計6回。自治体からの講習の要請も入るようになり、活動の幅は着実に広がっている。「親子でクイズ」、そしてインターネット関連の情報を見られるページなど、盛りだくさんの内容。「ネチズン大学」を開いてみると、パソコンやインターネットの歴史、以前の講習会の内容など、ページを読み進みながら理解できるため、とても参考になった。パソコンを与えっぱなしにしない。
 会はスクリーンに映されるパソコン画面の内容にそって、進められる。
 「インターネットは、80年代までは大規模災害を世に知らせ、その救済を呼びかけるなど、『善意を伝えるメディア』として、市民の公益活動を享えながら発展してきました。それが90年代以降、金儲けや悪意の対象にもなりはじめ、現在の日本の状況は、他国から心配されるほど、社会を悪くする方向に作用してしまっています。
 アメリカでは、大統領自らが『インターネットを子どもに広めよう』と呼びかけた際にも、保護者たちの間で
『判断能力のない子どもに無条件にインターネットを与えることは危険だ』と声が上がりました。このため、政府や通信事業者、そしてNPOなどの市民団体を巻き込み、全国規模でその間題に取り組んできた経緯があります。一方、日本ではそうした対応は学校や行政、警察に任せようという空気が強く、地域社会で市民自らが問題を解決しょうという努力が、もっともっと必要なのだと思います」
 下田さんは、アメリカでは、子どもにパソコンを与えっぱなしにして、何もしない親は無責任だという考えや、インターネットが自己責任を厳しく迫られる環境であることが、社会的にも広く認知されている。それが、判断能力や責任能力の未熟な子どもを、親の手で守ろうという活動の、原動力になってきたのだという。
何から始めればいいのか?
 有害サイトから子どもを守るために、ねちずん村では右頁の表のような内容をあげている。中でも特に注目したいのが4と5の『家庭と学校がパートナーシップを組
む』ことです。どちらか単独では、意味も半減してしまうので、両者の連携は、子どものための良いインターネット環境作りには、欠かせません」
 今後そうした活動が他にも広がっていってほしい、と下田さん。それに続いて、毯子さんは母親としての思いを話す。「インターネットは、携帯電話からの利用も急速に広がっています。ケ一夕
イもパソコンも、親が使っていなくても、そこで何が起こりうるのか、無関心ではいけない時代です。使い方次第で善にも悪にもなる道具の有益な使い方やルール、マナーを伝えるために
も、日頃の親子での対話が重要です」
 NPOとして地域や学校との連携を支える中で、子どもたちが安心してネット社会の冒険へ旅立てるよう力を
尽くしたいと、希望を語ってくれた。                (K・Y)

お知らせーーーー5月号中高生と携帯電話をめぐってーーーー
ケータイを使わないで過ごしてみた
     日ごろ携帯電話を利用している高校生に2〜3日使わずに過ごしてもらいました。
婦人之友社   http://www.fujinnotomo.co.jp/
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