信濃毎日新聞に連載 第3回 ケータイの落とし穴−いま子どもたちの世界は
| 信濃毎日新聞毎週月曜日に連載 第3回 ケータイの落とし穴−いま子どもたちの世界は 「見えなくなった子供たちの非行、犯罪実態」 |
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| 下田 博次 | |
| 見えない子どもたちの非行・・・・主体的メディア教育を | |
| 「見えなくなった子供たちの非行、犯罪実態」たぶん全国でもはじめての試みと思うが、私の研究室では昨年4月より地元のFM放送局(FM群馬)の依頼を受け大学生、高校生によるラジオ番組制作を続けている。スポンサーは群馬県青少年こども課で、目的はインターネット時代の少年非行対策である。 なぜこのようなプロジェクトが始まったかと言えば、近年インターネットや携帯電話など最新メディアを使った少年非行や犯罪が急増しているからだ。これまでの非行対策といえば、警察や行政、学校が目に見える範囲で地域を巡回し非行の芽を摘み取ったり補導、説諭するということですんできた。しかし少年、少女らがインターネット(それに接続する携帯電話網)を使って行なう詐欺や恐喝、売春といったさまざまな犯罪には対応できない状況が明らかになってきたのだ。理由は、彼らの活動空間である電子ネットの構造や、そこでの子供達の振る舞いが見えない、わからないからである。だからお説教したくてもできないし、しても的外れになるわけだ。 お説教ができなければどうするか。彼らの協力を得るしかない。というより、子供達が自ら自分達の置かれている現代メディア環境のリスクを客観的に捉え直し「して良いことと悪いことを自覚」させるほうがよい。上からの押し付け倫理や道徳ではなく、主体的なメディア教育が日本でもいよいよ必要になってくる。 そういう考えで始まった番組(ティーンズ・エクスプレス)では、大学生や高校生達が放送スタッフとなり同世代のネット利用実態について意欲的な掘り出しを始め、仕掛人の私自身がときに圧倒される取材をもやってのけている。 たとえばそのひとつが、昨年夏にJR高崎駅前で行った援助交際実態取材だった。この取材では短時間に次々と援交経験者の声が採れて驚いた。その一連の取材では、援交の目的や方法などが具体的に浮かび上がり、放送された一部の少女達の生の声が地域社会に衝撃を与えた。 放送できなかった部分にも、考えるベき材料は詰まっていた。例えば援交少女達の一人に、家出中の子がいた。彼女は友達の家に泊まりながら生活費を稼ぐ目的で援助交際をしていたのだ。最近プチ家出という言葉がよく聞かれるが、家出と少女売春のつながりに私は初めて注目させられた。しかし大人は知らないだけで、このケースは珍しくもないようだ。群馬県では、その後に家出少女による移動売春とも言うべき事件が起きた。この少女は家出して行く先々での宿泊代や食事代を稼ぐために携帯電話から出合い系サイトにアクセスし売春相手を見つけていた。調べにあたり彼女は「携帯なら何処に行っても、すぐ簡単に相手が見つかる」と語っている。携帯電話を持たせた親の方は、勿論そんな使われ方をされているとは知らなかった。 |
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| 信濃毎日新聞2003年1月20日(月曜日) | |
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