信濃毎日新聞に連載 第11回 ケータイの落とし穴−いま子どもたちの世界は
| 信濃毎日新聞毎週月曜日に連載 第11回 ケータイの落とし穴−いま子どもたちの世界は 問題・危険 指摘への反応 |
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| 下田 博次 | |
| 無意識が客観視に変化 | |
| このところ私は高校や中学の子供たちに直接「インターネット、携帯電話利用の問題点や危険性」について語りかけたり、解説するように努力している。今回はそうした私の話に子供たちがどのような反応や関心を示したか報告したい。 単純化すれば、子供たちの反応は二つに分けられる。ひとつは「そんなこと知らなかった」、もしくは「教えられなかった」という反応であり、もうひとつは、「やっぱりそうなのか」とか「これではっきりした」という受け止め方である。 まず「知らなかったことを知った」という感想の第一は、米国の同世代の利用実態である。前回も書いたが米国の子供たちは、日本の子供たちよりもインターネットの危険性について具体的で深い知識をもっている。そしてインターネットに接続する携帯電話を使っていない。このようなことに驚くのである。 さらに米国ではネット犯罪から子供を守る大人たちの活動が活発である事にも興味を示す。例えば昨年末にブッシュ大統領が、性的・暴力的コンテンツを排した子供向けウェブサイトに専用ドメインを設ける「ドット・キッズ法」に署名した。インターネットを生み出した国である米国は、過去十年近くインターネット情報社会を、自己責任の取れる大人のエリアと区別して、子供に安全な領域を切り開こうと挑戦している。このようなことを解説すると、大きな関心を示す。 またインターネットは軍事的な観点、目的から研究開発が始まったが、実質的にはその研究開発にあたった科学者や技術者たちの個人的思想、価値観で形成されたボランリー・ネットワークによる研究と実験が、ネット利用目的を平和的、学術的方向に変えていった。 そして1980年代には学生や市民が公益活動や社会変革的活動のためにメディアとして改良、発展させた。その技術的基盤と利用者の増大により、90年代後半から営利企業がビジネスに役立つメディアとして活用を始めた。そういう話をすると「もっと知りたい」っと聞いてくる。 子供たちにはそんな大切な情報がきちんと伝わっていないのだ。インターネットの情報世界の俗悪な側面を、はじめから「こんなもんだ」と受け止め疑っていない子供でも「もともとインターネットはこれほど欲望を刺激するものでなかった」と説明すると、わかってくれる。 またインターネットの世界では、出会い系サイトも含め正しい情報を見分ける努力をしないと被害に遭うとして、さまざまな事例をあげると、自己防衛の意識からの質問も出てくる。そうした彼らが、最近もっとも関心を示す事は「君たちは、インターネットで被害者より加害者になりやすい」という私の警告である。インターネット利用では、他人にだまされやすいけど、逆に子供でも大人をだますことができる。また軽いイタズラでも事件になりやすい。このようなことを具体的に説明すると、子供たちは「やっぱいそうなのか」という反応を示す。 こうした子供の中には、さらにそこから一歩踏み出して考える者も出てくる。なぜインターネットはこのようになったのか、そういうケータイがなぜ売れるのか・・・。 この段階になると、これまでの無意識に便利な道具と思って使ってきたケータイを、時には突き放し、客観視できるようになる。 |
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| 信濃毎日新聞2003年3月31日(月曜日) | |
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