報告― 群馬県認定の「子どもをネットの弊害から守る活動をするインストラクター」15名が巣立ちました。
2006年4月25日更新

 文部科学省と群馬県の支援を受け、群馬大学の下田が委員長となって設立された「群馬県の子どもたちを有害情報環境から守るための実行委員会」の活動が3月末に終了し、活動報告書も配布されました。

 この事業は、日本ではじめて市民が主体となってインターネット時代に地域で子どもたちを守り育てるための活動をするインストラクターを養成するのが目的で、約10ヶ月かけ先行する「ねちずん村インストラクター養成プログラム」をベースにインストラクター養成のための講座を立ち上げ、養成コースを終了させました。

 ちなみに今回の市民インストラクター養成講座の受講生15名は、作文提出などを前提とした公募によるもので、学校の教員や自治体の職員(教育委員会など)から情報処理技術者、主婦、自営業者、会社経営者、地域青少年健全育成活動者それに携帯電話会社の社員の方々といった多彩な顔ぶれでした。皆さんは、子どもとインターネット問題を組織の仕事としてではなく一人の親、市民としてやっていこうという志に溢れた方々です。

 営利を目的とした携帯電話企業や業界のために働く業界団体の出前講座とは異なる「子どものことを本当に心配するという愛情」から「知った人が未だ知らない人に知らせていく」という啓発活動を展開しようというものです。

事業報告会とインストラクターの認証式風景

 子ども達の携帯インターネット利用問題解決のための市民インストラクター養成を柱とした「平成17年度群馬県の子どもたちを有害情報環境から守るための実行委員会事業活動」の内容は大きく以下の4つの柱からなっていました。

(1) インストラクター養成プログラムの開発(教材、マニュアルの製作)
(2) 子どもセーフネット・インストラクター養成セミナーの開催
(計3回・市民立NPOカレッジ内ねちずん村研修室にて。受講者16名及び講師、事務局等5名参加)
(3) 青少年を巡る情報・地域環境実態調査の実施と集計(県内54市町村・群馬県青少年育成推進員による聞き取り調査)
(4) 事業成果報告会の開催(3月20日・群馬県県庁295会議室・96名参加)

 上記インストラクター養成プログラムの実施にあたっては、携帯インターネット疑似体験プログラムの開発やその利用マニュアルおよびテキストの製作などを行ないました。(一部はねちずん村ホームページにて公開)
 次いでそれらの教材やマニュアルを使い、子どもセーフネット・インストラクターを養成しました。その経緯を以下に記します。

 事業活動の経緯

7/10〜21 ・インストラクター養成セミナー用プログラム制作(市民立NPOカレッジ)
7/23 ・インストラクター養成予備学習会(市民立NPOカレッジ・計14名)
9/23 ・青少年を巡る情報・地域環境実態調査に係る会議
(群馬県庁241会議室・インターネットカフェやまんが喫茶のある12市町村の青少年行政担当者及び群馬県青少年育成推進会議役員等18名参加)
10/1〜25 ・青少年を巡る情報・地域環境実態調査実施
(県内54市町村・群馬県青少年育成推進員の参加)
調査対象:県内のインターネットカフェ及びまんが喫茶
12/23 ・第1回子どもセーフネット・インストラクター養成セミナーの開催
(市民立NPOカレッジ・受講者16名及び講師、事務局等5名参加)
1/9 ・青少年を巡る情報・地域環境実態調査集計(市民立NPOカレッジ)
2/4 ・第2回子どもセーフネット・インストラクター養成セミナーの開催
(市民立NPOカレッジ・受講者16名及び講師、事務局等4名参加)
3/5 ・第3回子どもセーフネット・インストラクター養成セミナーの開催
(市民立NPOカレッジ・受講者16名及び講師、事務局等5名参加)
3/20 ・事業成果報告会開催
(群馬県庁294会議室・96名参加。内容:基調講演・パネルディスカッション・インストラクター活動計画発表・修了証授与等)
3/20〜28 ・ラジオ番組制作
3/29 ・ラジオ番組放送(エフエム群馬「考えよう ネット時代の子どもの安全」 )

放送番組制作

特別番組「考えようネット時代の子供の安全」 (3月29日午後7時) FM群馬の放送内容
は以下のようなものです。

 インターネット時代の子供の安全対策や子育てについて、地域のリーダーを、「インストラクター」として養成しようという試みが、いま群馬県で始まっています。

 「子供セーフティネット・インストラクター養成セミナー」というもので、文部科学省委託事業である「群馬県の子供たちを有害環境から守るための事業」の中で行われてきた、全国初の試みです。

 セミナーには、教育関係者など、あわせて16人が参加し、これまで数回にわたってセミナー等で研修を重ねてきました。そして、その締めくくりとして、今月20日、群馬県庁で成果報告会が行われ、16人の方が、初のインストラクターに認定されました。

 今日の特別番組は、この日の成果報告会の模様を中心にお送りしていきますが、その前に、この事業の実行委員長である、群馬大学社会情報学部の下田博次教授に、こうした、インストラクター養成セミナーを実施するに至った背景や、その意義などについてお話を伺いましたので、それをお聞きいただきたいと思います。

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特別番組「考えようネット時代の子供の安全」、今日のこの時間は、今月20日に群馬県庁で行われた「群馬県の子供たちを有害環境から守るための事業」成果報告会の模様を特別番組としてお送りしています。
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 さきほどは、この事業の実行委員長である下田教授に、今回の事業の背景や意義について、話していただきました。
 さて、20日に行われた成果報告会は、第一部で、下田教授から、今お伝えしたような、ネット時代の問題点についての基調講演行われた後、第二部では、「情報化時代のPTA活動」との演題で、PTAの立場から、パネルディスカッションが行われました。そして、第三部で、インストラクターの成果報告会と終了証授与が行われました。

 それでは、つづいて、第二部のパネルディスカッションの模様を抜粋して、お聞きいただきたいと思います。

 パネラーは、下田教授の他、茨城県PTA連絡協議会会長の堤 千賀子さん 社団法人・東京都子供PTA協議会 教育問題対策委員会委員長の森田 美和子さん、そして高崎市立六郷小学校PTA会長の飯塚 秀伯さん、高崎市立東部小学校のPTA会長小此木 正信さんです。

 PTAとして、ネット時代の子供の安全について、現在どう活動し、今度、どう行動していくべきか、などについて、議論が交わされました。

 第三部では、認定をうけたインストラクターの方々が、それぞれ、成果報告という形で、抱負や今後の活動方針などを話されました。
その中から、3人の方のお話、お聴きください。


セミナーの概要 (計3回平成17年8月のプレスクールの内容は省きます)

第一回 子どもセーフネット・インストラクター養成プログラム

1 インストラクター育成の方法論について

インストラクターの目的、使命の説明および活動目的と活動方法について
目的 保護者に、インターネット携帯インターネットの有害側面も含めて、パーソナル・メディアとしての特徴、特性を理解してもらい、子どものインターネット利用において指導対話できる力をつけてもらう。

2 インストラクターに必要な知識

*インターネットのメディア特性(パソコン、PC)
1)マスメディア(TV)との比較で解説
2)パーソナルメディアの与え方の難しさ
以上テキストをもとに解説

第二回 子どもセーフネット・インストラクター養成プログラム

1)教材の編集について
2)パワーポイント教材の説明教材(ツール)の使い方
          パワーポイントCD
          ビデオ・DVD
          パネル
          冊子
          ホームページ(疑似体験館)

第三回 子どもセーフネット・インストラクター養成プログラム

1)インストラクターの自己研鑚とその方法について
2)話し方、解説方法の実践
3)インストラクターの勉強会のための組織作りについて
この際に以下のような最新の情報の配布を試みる。
* 日本の子どものインターネット利用実態と問題点=群馬大学・下田研究室とモバイル社会研究所の共同研究成果
* 子どものネット利用によるトラブル、事件の現状=警察庁における調査活動の成果や学生、教員、PTAなどからの情報
* ねちずん村インストラクターの自己研鑚報告など

次に今回のセミナーの受講風景を示します。(場所:NPO法人 市民NPOカレッジ・ねちずん村研修室)

講習風景

 ちなみに今回の事業報告会では各インストラクターの活動計画、抱負なども発表されました。そこでは「25年余り通信業界で仕事をしてきた経験を、会社の看板を背負うことなく子を持つ親の立場で活かすことができればいいと思っています。」とか「数年前から、ケータイサイトの掲示板に高校ごとのサイトが作られ、悪意のある書き込みがされた例が報告されていました。それが、最近では中学校ごとのサイトも多く見られるようになり、各学校で定期的にチェックするとともに学校間で情報交換をしていますが、個人情報を書き込んでしまったり、教師や生徒を誹謗中傷するような例もあります。その都度、掲示板の管理者に対し、削除を求めるなどしていますが、対応しきれない状況もあります。こうした状況も多くの皆さんに知ってもらい、子どものケータイ利用について、大人としてどうすべきか考えてもらいたいと思っています。」といつた教育現場からのメッセージや「特に好奇心旺盛な小中学生たちがインターネットの危険性をよく理解しないまま、携帯電話を持つことによって犯罪に巻き込まれる事件が多発しています。チャットによる見知らぬ人との出会いから事件に発展するケースだけでなく、電子メールや掲示板での誹謗中傷や、個人情報の漏洩など、子どもたちが加害者になる危険性も問題となっています。これらの問題に対処するために、大人の方にはインターネットの危険性を理解していただき、子どもたちを守るための方策を一緒に構築していければと思います。」

 「私は三人の子どもを持つ母として、子どもを守りたい、子どもの友達を地域の子ども達を守りたいと考えこの活動をしています。子どもにとって、その成長を助けるインターネット利用をみなさんと一緒に考えていきたい。子どもに助言できる親になるために、みなさんと一緒に学んでいきたいと思っています。どうぞ声をかけてください、一緒に話しましょう。」
「私は、子ども達のインターネット利用・携帯電話利用の危険性、有害性に気付き、またそのことを大人や保護者ですらほとんど知らない、あるいは無関心であるかに私自身も含め愕然としました。そんな中、何とかしたいという気持ちで、自分自身も子ども達の携帯インターネット事情について勉強し、そしていち保護者の立場から、あるいは保護者の視点から、子ども達のインターネット利用の危険性を多くの同じ保護者に伝いたいと思いました。」

といった保護者の立場からのメッセージも発信されました。いよいよインターネット時代の市民の活動が日本でもはじまりました。